世界がかわった日
初めて ブログ というものを意識したのは去年夏。
夫に思いもよらない病気が見つかった。
それまで住んでいた世界が、一瞬にしてかわった。
もう私はこれまでの自分じゃない。もう今までの自分はいないんだ。
そう思った。
どうして?どうして?何がいったい起こっているの?
これは現実なの?本当にこんなことが自分に起こるの?
どうして?どうして?あんなに丈夫な人だったのに?
うそだ、うそだ。
そんな考えがぐるぐる回り、病院の中で夫と並んで歩いている自分が不思議だった。
私、歩けてる。こんな時に、歩けてる。
自分が歩けていることが不思議だった。いつ崩折れてもおかしくない心境だったからだろう。
夫は、まだ検査があるからと、しっかりとした足取りで、
次の検査はこっちだから、と私を誘導しながら、初めての病院のはずなのに、
まるで昔から知っているように落ち着いた足どりで、私の前を歩いていた。
なんて人だろう。自分の病気がただならぬものであることは、
自分が一番知っているはずなのに。
なんて人だろう。死がこんなにも急に身近なものになってしまっているはずなのに。
今、私の前にいる夫は、昨日までと何も変わらない、昔のままの夫だ。
ついこの前までの夫と私は、10日後に控えたモルディブとスリランカ旅行を楽しみに待つ、
平凡だけど幸せを、絵に描いたような夫婦だったように思うけど、
私の中にその夫婦はもういない。
その時は、そう感じた。
しばらく回想が続きます。
夫の病気が見つかる5ヶ月前。ネパール、飛行機から。